歯の王様「6歳臼歯」をむし歯から守りましょう|仕上げ磨きやフッ素の正しい活用法
皆さま、こんにちは。
桶川市坂田の歯科医院「すなが歯科クリニック」です。
歯の王様と呼ばれる「6歳臼歯」をご存じでしょうか?
永久歯の中で最も大きく、噛む力も強いことから「歯の王様」と呼ばれているのです。
けれども、この歯は、非常にむし歯になりやすいことでも知られています。
6歳臼歯はお口全体のかみ合わせにも大きく影響する歯であるため、むし歯から守ることがとても大切です。
この記事では、6歳臼歯の特徴や、6歳臼歯がむし歯になりやすい理由とその対処法などをご紹介します。

須永 亨 院長
2007年 明海大学歯学部 卒業2008年 明海大学臨床研修医修了
2008~2014年 関根歯科医院 勤務
2014~2016年 大塚歯科医院 勤務
医院名:すなが歯科クリニック
所在地: 〒363-0008
埼玉県桶川市大字坂田1011-1
Contents
6歳臼歯はむし歯になりやすい永久歯です
6歳ごろに生えてくる永久歯のため「6歳臼歯」と呼ばれていますが、正式名称は「第一大臼歯」といいます。
この6歳臼歯はお口の奥に生えてくることや、溝が深い歯であることから「むし歯になりやすい歯」といえます。
6歳臼歯について
子どもの歯は3歳ごろまでに乳歯が生えそろい、その後5~7歳以降に永久歯へと生えかわっていきます。
多くの場合、1番早く生えかわりが始まるのは「上の前歯」です。
歯の生えかわりが始まる、標準的な期間は以下のようになっており、この時期からお口の中の環境は大きく変化していきます。
・男の子:6歳6ヶ月~7歳10ヶ月
・女の子:6歳3ヶ月~7歳7ヶ月
(参考:J-STAGE 小児歯科学雑誌「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究Ⅱ」p369 表10 より) >
6歳臼歯は乳歯と入れ替わるのではなく、直接歯ぐきを突き破って生えてくる歯です。
お子さまによっては、このタイミングで痛みや違和感を訴える子もいます。
奥歯のあたりを気にしているようであれば、6歳臼歯が生え始めている可能性があるでしょう。
6歳臼歯が生えてくる場所の歯ぐきを触ってみて、以下の状態であれば、もうすぐ6歳臼歯が生えてくるサインといえます。
・歯ぐきを触ったときに、盛り上がりを感じる
・歯ぐきの下に硬いものを感じる
6歳臼歯の特徴
6歳臼歯には大きく3つの特徴があります。
・噛む力が大きい
・歯並び全体に大きな影響を与える
・歯の表面(食べものを噛む面)の溝が深い
6臼歯の噛む力は74.49kgあり、永久歯の中で最も強い歯です。
噛む力が1番弱い歯が、前から2番目の前歯「側切歯(そくせっし)」です。
この側切歯と比べ、6歳臼歯の噛む力は3.8倍もあるのです。
(参考:J-STAGE 「咬みしめ時の歯列における咬合力分布」p115 より)>
6歳臼歯を基準として永久歯の歯列は決まるため、6歳臼歯はかみ合わせにおいて軸となる役割の歯といえます。
そのため、6歳臼歯がむし歯になり失われてしまうと、噛む力が低下してしまうだけでなく、歯並び全体によくない影響をおよぼしてしまうのです。
6歳臼歯がむし歯になりやすい理由
6歳臼歯はむし歯になりやすく、学童期に起こるむし歯のほとんどが6歳臼歯です。
6歳臼歯がむし歯になりやすいのには、以下の理由があります。
・歯の表面の溝が大きく、汚れを落としきることが難しい
・手前の歯よりも背が低いため、歯ブラシをしっかりとあてることが難しい
・生え始めは歯肉に覆われている部分が多く、ブラッシングがしづらい
・生えてきたことに気づかないことがある
このように6歳臼歯にはむし歯になりやすい要因がいくつも存在します。
特に生えたばかりの歯は、やわらかく酸に弱い状態です。
生えたての6歳臼歯は、余計にむし歯にかかりやすくなっているのです。
6歳臼歯をむし歯から守るためにできること
6歳臼歯をむし歯から守ることが、お子さまのお口の健康を維持するうえで重要です。
6歳臼歯は噛む力が強い歯でもあるため、「しっかり噛んでなんでも食べる」ためにも、とても大切な歯といえるでしょう。
【王様みがき】でしっかり磨く
6歳臼歯は、奥に生えていること・背が低いこと・溝が深いことからしっかりと歯ブラシをあてて歯磨きを行うことが難しい歯です。
6歳臼歯の歯磨きのコツは「王様みがき」です。
王様みがきは具体的に以下の方法で行います。
・王様がいばっているように、肘をあげて胸を張った体勢で歯磨きをする
・ほっぺた側から横向きに歯ブラシを入れる
・1本だけを磨くよう心がける
この際、溝の部分がうまく磨けない場合には、タフトブラシを活用するのもおすすめです。
タフトブラシは先が細くなっているため、深い溝の部分の汚れを落とすのに適しています。
仕上げ磨きを大切にする
6歳ごろのお子さまは、まだひとりで歯磨きを十分に行うことが難しい年齢です。
5歳ごろから永久歯が生え始め、12歳ごろに第二大臼歯が生えてくることで、親知らずを除くすべての永久歯が生えそろいます。
しかし、永久歯が生え揃う12歳時点において、一人あたり2.9本がむし歯になってしまっているのです。
12歳ごろまではお口の中の環境が大きく変化する時期です。
磨き残しの多い場所もでてくるため、お子さまがひとりでしっかりと磨けるようになるまでは、仕上げ磨きを行うようにしましょう。
(参考:厚生労働省「健康日本21〈歯の健康〉」p6-7 より) >
フッ素を活用する
フッ素(フッ化物)をしっかりと活用することで、むし歯を予防する効果が期待できます。
フッ素にはむし歯予防のための3つのメカニズムがあります。
1.歯の表面にあるエナメル質を強化し、むし歯に強い性質にする
2.エナメル質が修復するのを促進する
3.むし歯の原因となる細菌の働きを抑える
ご自宅でのブラッシング時にフッ素配合の歯磨剤を使用することとあわせて、歯科医院にて定期的にフッ素を塗布することがおすすめです。
歯科医院でのフッ素塗布は、歯科医院のみで使用できる高濃度のフッ素をしっかりと塗ることができ、より高いむし歯予防効果が期待できるためです。
年齢別!フッ素の効果的な使用方法
フッ素はむし歯予防に非常に効果的ですが、年齢によって使用できるフッ素の量や使い方が異なります。
歯が生えてきてから2歳ごろまで
フッ素は歯が生え始めたころから、使用することができます。
この時期は、まだ自分の力でうがいができないお子さまもいらっしゃるかと思います。
その際にはティッシュやガーゼなどで、優しくふき取るのもよいでしょう。
・900~1000ppmFの歯磨剤を、歯ブラシの先に米粒程度つけて使用する
・フッ素配合の歯磨剤を用いた歯磨きを、1日2回行う
3歳から5歳
3歳から5歳のお子さまは、前歯だけでなく奥歯も生え始める時期です。
奥歯は前歯と形状が異なり、歯の表面に溝がたくさんあることが特徴です。
この溝の部分は、汚れが溜まりやすい場所ですので、しっかりと汚れを落としてあげる必要があります。
・900~1000ppmFの歯磨剤を、5mm程度つけて使用する
・フッ素配合の歯磨剤を用いた歯磨きを、就寝前を含めた1日2回行う
・歯磨きのあとは歯磨剤を軽く吐き出し、うがいは少量の水で1回までにとどめる
6歳以降
6歳以降は乳歯から永久歯への生えかわりが起こったり、6歳臼歯などの永久歯が生えてきたりと、お口の中の環境が大きく変化していきます。
磨きづらい場所も増えてくるため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの清掃補助具も活用しながら、毎日のブラッシングで歯垢を落とすようにしましょう。
・1400~1500ppmFの歯磨剤を、1.5~2cm程度つけて使用する
・フッ素配合の歯磨剤を用いた歯磨きを、就寝前を含めた1日2回行う
・歯磨きのあとは歯磨剤を軽く吐き出し、うがいは少量の水で1回までにとどめる
・インプラントなどのチタン製の歯科材料が使用されている場合でも、ご自身の歯をむし歯から守るためにフッ素配合の歯磨剤を使用する
(参考:厚生労働省e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」より) >
お子さまの定期検診は「すなが歯科クリニック」へ
当院では「予防・クリーニング」に特に力を入れております。
予防を行い、むし歯や歯周病といったお口の病気を防ぐことで、今ある歯を大人になってからも長く使い続け、いつまでもご自身の歯でおいしく食事を楽しむことができます。
お子さまが歯医者に対して苦手意識を持たないために、むし歯の治療から歯医者に通い始めるのではなく、予防を目的に定期的に受診していただくことがおすすめです。
当院でも、お子さまを歯医者ぎらいにさせないよう、お子さまに寄り添った診療を心がけております。
まずはおしゃべりをしてみたり、歯ブラシや器具に触ってみたりと「遊び」を取り入れた診療を行います。
キッズスペースもご用意しておりますので、お子さまと一緒に通いやすい歯科医院です。
お子さまの定期検診をご希望の方は【すなが歯科クリニック】へご来院ください。